電気が生まれる原理
私たちの生活に欠かせない電気は、どのようにして作られているのでしょうか。
電気を作る方法はいくつかありますが、その多くは「発電機の回転」によって生み出されます。発電機は「電磁誘導」という原理を利用し、磁石とコイルを組み合わせて回すことで電気を発生させます。
電磁誘導とは?
磁石の近くでコイル(銅線)を動かすと、コイルに電流が流れる現象です。
この原理を利用すれば、回転のエネルギーを電気に変えることができます。
回す力の元は、水の力、風の力、蒸気の力などさまざまです。
火力発電
2-1. 仕組み
火力発電は、石炭・石油・天然ガスなどの燃料を燃やし、その熱で水を沸かして高温高圧の蒸気を作り、蒸気タービンを回して発電します。
2-2. 特徴
- メリット:安定的に大量の電力を供給できる。天候に左右されにくい。
- デメリット:二酸化炭素(CO₂)を排出し、地球温暖化の原因になる。
2-3. 最近の動向
近年は、CO₂排出が少ない天然ガス火力(LNG火力)や、発電効率を高めるコンバインドサイクル発電が主流になっています。
水力発電
3-1. 仕組み
川やダムの水を落とし、その落差によって水車を回し、発電機を動かします。
3-2. 特徴
- メリット:再生可能エネルギーでCO₂をほとんど排出しない。
- デメリット:建設には大規模なダムや地形条件が必要。
3-3. 種類
- 貯水式:ダムに水を貯め、必要なときに放流して発電。
- 流れ込み式:川の流れを直接利用。
- 揚水式:電力が余っているときに水を上のダムへくみ上げ、需要時に落として発電。
原子力発電
4-1. 仕組み
ウラン燃料の核分裂で発生する熱で水を沸かし、蒸気タービンを回します。
4-2. 特徴
- メリット:大量の電力を長期間安定供給できる。CO₂排出が少ない。
- デメリット:放射性廃棄物の処理、万が一の事故時の影響が大きい。
再生可能エネルギー発電
5-1. 風力発電
風の力でプロペラを回し、発電機を動かします。
- 長所:燃料不要、CO₂ゼロ
- 短所:風況に左右されやすい、騒音や景観の問題
5-2. 太陽光発電
太陽光を太陽電池(ソーラーパネル)で直接電気に変える方式。
- 長所:家庭でも設置できる、メンテナンスが比較的容易
- 短所:天候や昼夜で発電量が変動
5-3. 地熱発電
地下深くの高温の蒸気や熱水を利用してタービンを回す方式。
- 長所:安定供給が可能、CO₂排出が少ない
- 短所:適地が限られる、開発に時間がかかる
発電所から電気が届くまでの補足
発電所で作られた電気は、そのままでは家庭で使えません。発電直後の電圧は数千〜数万ボルトあり、送電・変電を経て、最終的に100Vや200Vに下げられ、家庭のコンセントまで届きます。
発電方法の組み合わせ
現代の電力供給は、単一の発電方式ではなく、複数の発電方法を組み合わせて行われています。
これをエネルギーミックスと呼び、安定供給と環境負荷低減の両立を目指しています。
- 昼間のピーク時:太陽光発電や水力発電
- 夜間や安定供給:火力・原子力
- 天候に左右される再エネを補う:火力発電
発電の未来
近年は、カーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの割合を増やす動きが進んでいます。
また、発電した電気をためる蓄電池や、水素エネルギーの活用など、新たな技術も登場しています。
将来的には、よりクリーンで持続可能な発電が主流になるでしょう。
まとめ
電気は、火力、水力、原子力、再生可能エネルギーなど、さまざまな方法で作られます。その多くは「回転する力」を発電機に伝え、電磁誘導によって生み出されます。
発電の方法によって、安定性や環境への影響は異なります。これらをバランスよく組み合わせることが、持続可能な電力供給の鍵となります。
私たちがスイッチを押すとすぐに明かりがつくのは、この複雑で大規模な発電の仕組みが、日々休むことなく働いているおかげなのです。